應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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釣アラカルト2

 川から海への転向

 38歳まで川釣り専門であった。冬はハスやニゴイ、初夏から晩秋にかけてアユ釣りが専門で、主に素掛(段引き)だった。うなぎ.なまず.ねほう他
 住まいが和歌山から大阪、しかも北摂の豊中へ移ってからも10年余り紀ノ川へよく通った。 遠い川へ何故、と思われるが、
当時、戦後の日本が経済の復旧から勃興期に入っていたが、反対に陰の部分である公害が全国いたる処に発生した。しかしまだ国民の意識も今ほどでなく、公害よりも景気の上昇を望んだ。
日曜日、テレビの連続お笑い番組でテ-マソングの合間に、こんな台詞が入るのが人気を博していた。

「スモッグ.スモッグ言うけどなア、これが大阪のエエとこだァ」

まだ此花区の7本煙突から吐き出す煙が、大阪の景況を占うバロメーターであった時代、田舎の都市から出てきた者からみて京阪神の河川はまるでドブ川のような気がした。従って周辺の川は敬遠した。
それと紀ノ川はクセまで知り抜いた通い慣れた川であることと、マス科の鮭ではないが、潜在的に生まれ故郷が恋しかったか。

ところが或日突然、座骨神経痛らしき痛みが起こった。
鮎釣りは早朝から夕暮れまで下半身裸のまま流れの冷たさに曝されていたし、特に秋の落ちアユシ-ズンは晴れた日でも胴から上はカンカン照りだが、下はそぞろ身に染む冷たさに耐えなければならなかった。最近のように、真冬の水の中でも自在に戯れることのできるウエットス-ツが普及しておれば、今も川釣りをしていただろう。 
「こんな若さで、神経痛に一生つき合わされ兼ねないのはご免だ」と、ぷっつりやめた。

暫くして勤めの場所が神戸となり、得意先で釣り談義をする機会が多くなった。
さすが神戸は海の街、釣り好きが大勢いた。その中でも釣り歴30余年のベテラン理髪店主の東さん、話上手でたちまち血が騒ぎだした。

曰く、「海ほど意外性のあるものはない 川は昔おばあさんが洗濯に行って桃太郎さんを手に入れた程度 海は違いまっせェ 時には変った外道も上がるし・・」と。

或る秋の休日、東さんの友達と3人で、明石の対岸、淡路島の岩屋(いま明石大橋の架かっている)の波止へ行った。今日はかれい狙いだとのこと。
 過去に海の経験は、主に波止から竹ざおで小アジをウキ釣りした程度、取りあえず道具仕掛けは東さんから借りた。川では見られないガイド付きカ-ボンロッド竿・スピニングリ-ル、当時はまだ高価であった。

 現場に着いて仕掛けを教わり、取りあえず第一投したが、うまく飛ばない。
周りが親切に教えてくれるがどうも勝手が悪い。20mも飛ばない、左右にブレたり足元に落ちたり。暫く見ていた2人、うんざりしてきたのか

「まァ落ち着いてやりなはれ、そのうち、うまくなりますよ」
と慰めとも憐憫ともつかぬ言葉を残して離れて行った。

それでもなんとなく要領が判ってきたので力を入れて投げた。
が、10m程の水面に落ちただけだ。
途端、リ-ル止めのネジが弛んでいたのか、リ-ルが足元のコンクリ-トに落ちて音をたてた。わッと思うまもなく転がって海へトポーン。
頭の中が白くなり、竿を置くや大切なリ-ルを引き上げねばと大急ぎで釣り糸を手繰り寄せた。約200mも巻いている糸はいくら手繰っても果てしない。

どこかで見ていたのか離れていた2人がとんで来た。ようやく手に重みが掛かり海底のリ-ルに行き着いたようだ。東さんとその友達は、横から慎重に、慎重にと声をかける。
どうやら海底で障害にも合わず、やっとリ-ルが顔を見せた。3人は顔を見合わせて、それぞれの思いで暫く笑った。こちらは借り物の道具が揚がってきて、やれやれ安心と虚脱状態である。

投げた仕掛けを手で引き上げにかかった。変に重くてヒクヒクと強い引き、
むッ?、そばから東さんが、

「たぶん根掛かりやろ、切ってもエエから引き上げていいよ」と声をかけて呉れるので思い切って引っ張った。が、どうやら魚が掛っているらしい。

「なにか付いているらしい」と言うと2人は「どうせガッチョぐらいやろ早よあげて」と言う。
猛烈な引き、糸で掌が切れそう、が今のアクシデントで逆に気が昂ったのか、強引に引き上げた。しばらくして水面で腹を返したのはなんとそれは真鯛、周囲の連中がわっと声をあげる。東さんが、うまくタモですくいあげて呉れたのは40cm余の正真正銘の明石ダイであった。

私は2人に向かって「すんません、すんません」と片手で後頭部を撫で乍ら、意味もなく頻りに謝っていた。 暫く経って思い出した、なるほど、これがほんとの海の桃太郎か!と。                      
  
 
             ごあいさつ

高野おうごのブログ、一応今回の『釣りアラカルト』をもちまして、終了させて頂きます。
冗漫で拙い文章に、長い間おつき合い頂き、ありがとうございました。 衷心よりお礼申しあげると共に、皆様方のますますのご多幸を祈念いたします。
ありがとうございました。
                            08.彼岸.






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釣アラカルト

  会社人間、つりに行く

 当節,近郊の海辺は釣り人で大賑わいである。足場のよい堤防や波止、つり公園等は、いつ行っても人っで溢れ返っている。最近の特長はファミリー組が多く特に休日はうば車までみかける。アウトドア.スポ-ツ全盛期の様相である。特に最近は漁や趣味だけでなく、スポ-ツライフ.癒しの感覚等で若い女性が結構多い。

 昔と言っても30年程前のことだが、釣場は静かであった。とくに、彼岸やお盆などは殺生をすると水難のバチが当たると言い伝えられ、御先祖さまのお祭りにこころ配りをしたものだ。
が近年は仏ホットケと元気なおじいさんや、おばあさんまで物見遊山気分で一緒にやってくるし、お盆などは、却って空いているのではないかと深読みして繰りだして来る始末。
 漁師もホトケそっちのけで、おまつりを家族にまかせて、稼ぎ時とばかり遊魚船をだす。 釣りの大衆化、誠に結構な御時世ではある。
 さて巷間、「釣の好きな人は気が長い」なんてよく言われるが、それは違う。私に言わせれば、釣りの好き嫌いの色分けは、好きな人、誘われれば行く気になるが、あまり積極的でない人、そして嫌いな人等、3種類に分かれるようだ。 私は、これは多分、幼児体験の成せる結果だと思って居る。 

 小さい頃、オヤジか誰かに釣りに連れていって貰って、大漁の経験やオモシロかった印象が強い者ほど、度合いの差に現れるようである。
 ところで、今の釣場風景があまりにも変わってしまったので、今昔について一言。
以前の釣り人は川や海と一体となって(同化するごとく)静かに釣ったものである。
マナーや規律は誰に教わる訳でもなく自然に会得したものだ。 マナーと云っても弁当がら針糸やゴミは持って帰るなんて、きょうび4~5才の幼稚園児でも知っているような事ではない。
例えば、釣っている人の近くで釣るときは必ず挨拶をし了解をとったり、側を通るときでも、軽く挨拶する程度で余計なことは話しかけない等、単純で極めて基本的なものだ。 
その頃の釣人は、総じて風体を一目見ただけでヴェテランと判ったもので、地味な服装と、何故か年中色の褪せた麦藁帽子を被り、僅かな道具仕立て等、....そして一様に寡黙だった。
 ところが最近の釣人スタイルは、熱帯魚が動き回っているようにカラフルで、釣の道具類も高級品の見本市のようだ。 釣られる魚のほうも、最近は有名ブランド好みになったか?。
また騒々しさも言語に絶する。風の強い日など大声でドナリあい、まるで終盤の選挙演説のよう。 
誤解されては困るが、そんな昨今について私は決して、「釣とはかくあるべし」式に御託宣をならべて、道を説く気は毛頭ない。が、・・・・
それよりも最近、釣り場で極めつけの風景と体験をさせられたので、その話。

 昨年秋 9月中旬早朝 微風 海穏やか 薄曇り 満潮午前8時40分の予定
 チヌ狙い 餌コガネ。 釣り場に着きポイントを決めて6時半頃、早速手のひらより一回り大きなを一匹挙げた。今日は朝から調子がエエわいと・・
 偉そうに云う訳ではないが、釣りは 1にポイント 2に潮 3に餌 4に辛棒 それらに増して、とりわけ大切なのは 念 の集中だと。これは今までの私の経験からしてつくづく思う。
 
釣は集中力を欠き雑念が入ると、今まで釣れ盛っていたのが途端に止まってしまう。不思議なもので、この現象は実体験のある人ほど分ってもらえるはずだ。
 さて 二匹目をねらって気を充実させようとしたとき、
突然、騒々しい一団が現れた。 そして一目みて驚いた。 6~7人が、1人を除いて赤・黄・青・まるで信号機だ。 しかもコピー人間のように、帽子から着ている上下 靴 手持ちの道具に至るまで。おなじ色柄スタイルの集団である。 なんじゃこりゃ?
 その目立つこと、一瞬、釣具メーカーの宣伝部隊かと錯覚した。だがよく見るとどうやらピカピカの釣り一年生登場のようだ。

 当日は平日で朝は早く、余り人も出ていない。私の10m程離れた防波堤に地元の老人が一人いるだけである。この波止は長さ数百mもある。

 あっけにとられていると 何の因果かこの集団が、選りにも選って私の右隣へ来て場を取った。他に幾らでも釣場所があるというのに。歳の頃は皆60歳過ぎだ。
 この連中、車座に座るやいなや朝の9時すぎというのに、早速クーラーから酒や缶ビールを取りだし宴会を始めた。

「じゃあ、本日の大漁を祈念して・・カンパーイ!」と。

 うるさくて仕様がないが、多少興味もあって聞き耳を立てていると、会話の中に頻りに部長・課長・係長・00くん・が飛び交っている。
 ははぁ これは同じ会社をリタイアした年金者集団で、以前の部署がそのまま海辺へやってきたのか。要するに今日はこの連中のヴェテランズデーか。
 中でも00部長と呼ばれているのは、尊大な言葉付きが耳についたので、顔を見ると、キャリア官僚から成り上がった政治家などによく見かける、これ以上左右に曲がれない程の威張り口をしている。
これを頭に、どうやら課長が2人、係長2人、ヒラが2人の色分けのようで、課長のうちの1人が頻りに、
「今日は部長の発案のお陰で我々の楽しい趣味の会ができた」
と、元上司を持ち上げている。
 暫くしてそのオモネリ課長が、「00くん、そろそろやるか」と声をかけた。すると、ハイハイと立ち上がったのはこれも60過ぎの、その場の連中と服装の違う地味なベテラン風の男、早速仕掛けを作り始めた。
 他の者は相変わらずガヤガヤ云いながら酒を呑んでいる。ようやく皆の仕掛けが出来上がった頃は、前祝い連中の酔いも相当出来上がっていた。

 仕掛けをみると初心者のよくやるサビキ仕掛け、アジや小サバ狙いのよう。ありゃア、と思う間もなく一斉に私の右隣で一列に並んで、ドボンドボンと仕掛けを投げ派手な音を発てだした。

 これは大変だ、と内心困惑していたがそれでも連中、暫くは大人しくシャクリを繰り返していた。 が、さっぱり果がらない。

そのうち一人が おかしいなあ、といいだした。
今日は魚の日曜日じゃあねえかとか、エサがよくない いや仕掛けだ 針だ がやがやとしゃべり散らす。中には潮がよくねェ なんて、いっ丁前の口をきくのも居る。小節をきかせて歌を唄いだすのも・・・すぐ飽きの来る連中だ。

 こちらも何時までも気にしている訳にはいかないが、気が散って釣にならない。それでも奴さん達、約半時間ほど粘っていたが、とうとう諦めたのかぞろぞろ何処かへ行ってしまった。隣の老人もニガ笑いしている。

やれやれ助かったわい これから本腰を入れて・・と改めて海に向き直った。しかし一旦緊張が解けるとなかなか元に戻らない。ウキはびくとも動かない。釣れないから思考がどうしても先ほどの連中に流れてしまう。
 
おかしな連中だなぁ 色までお揃いの押し着せ集団とは・・・たぶん家で居ずらくなった連中が、釣の世界へやってきたんだろう! しかし同じ元職場の組織まで持ち込むことは無かろうが。
永年の勤務習慣とは恐ろしいもので死ぬまで続くんだろうか。


話は外れるが自己反省を込めて考えてみるに、一般的なサラリーマンは現役のとき一所懸命働き、自分ではヤリ手で・・と思っているが何んの事はない、案外会社に遊んで貰っていただけの習慣人間、せいぜい接待ゴルフでお世辞か自慢話が関の山。この手合いがリタイアするとこれからはもう一人では遊べない。時間だけはたっぷりあるがなんの趣味もない、ウロウロ右往左往だけ、そして兎角群れたがる。その結果、今のような集団が出来上がったのだろう。 
と、どんどん空想が広がっていく。
特に例の部長を想像するに、・・
 辞めて自分の女房以外、なんの権力も無くなったがなーんにも出来ない。数カ月は家ん中でゴロゴロ。
亭主に、貞女の鑑と思わせている女房殿も当座は、
「永い間お勤めご苦労様でした、ゆっくり骨休みして下さい。」と、殊勝なことを云っていたが、そのうち毎日毎日二人だけの変化のない日が続く。
 巷間リタイアした男達が妻に「ワシも行くワシも行く」と何処へでも付いて行くワシ族とか、引っ付いて離れない濡れ落ち葉族と、揶揄されるのを絵に書いた様なこの亭主、辞めてからはトイレ以外、四六時中付き纏われては女房も邪魔で気ぶせいで、終いには疎ましくさえなってくる。 

 現役の頃のダンナは、どうでもよいような事をよくドナったものだ。
特に朝早くから出勤まえの玄関先でバリ雑言を浴びせる。そんな時でもハイハイと従順にかしづいて、模範的な主婦を演出してきた。 
腹の中では、(なあに敵さん、いくらドナっていても、バスの時間が来れば素ッ飛んで行くんだから)と、秒刻みで足元を見ているからだ。 
(下手に逆らって、こちらも一日中嫌な気持ちで居たくないわ)
 出て行った後は、再び寝ようと起きていようと、また隣の人達と、時間無制限でしゃべり散らしていようと気ままなついこの間までの毎日、気晴らしのネタぐらい幾らでもあった時代。
(ああ あの自由一杯の、至福の時代は何処へ行ったのか・・・それに引き換え今はうっとうしいこと、この上ない)。 
そこで深謀遠慮を働かせた。
 この旦ツク、無理に奨めて趣味を持たせても、根気が続かなければなんにもならない。要は家ん中に居なければイイのだ、同じ境遇の連中を集めてアソばせるに限る。或るときテレビを見ていたら「優しく、楽しい、趣味と実益のつり」とのタイトル。これだッ、と直感。最初に ”やさしく” ときた、これがいい。 早速釣りでもしたらどうか、と奨める。
「うん、だけど俺やったこと無いもんなぁ」と気の無い返事。
「数年まえ辞めた00さん、時々釣ってきたと云って、アジやメバル、時にはハマチなんか持ってきてくれたでしょ、00課長さんや00係長さん達も誘って、00さんに教えてもらえば・・釣果があれば新しい魚も食べられるし。」 と誘導。
「おお そうか、うん、趣味と実益か、それがいい」
 と乗ってくる。早速この亭主、00課長に連絡している。思わず女房、腹の中で快哉を叫ぶ。うまく行った。小沢昭一的こころではないが「しらバカァ、アホぞうらァ・・・」と、北国の春を思わずハミング。

同じ境遇で、無聊を囲っていた同病課長 
「こりゃいいアイデアですなぁ」と二つ返事で旧部下の係長達に声をかける、皆が集まって衆議一決。
気の毒なのは元勤め先でヒラ社員で終わった00くん。くだらない連中のくびきから開放され、平穏気がねなく暮らしていたのが突然、部長以下に呼び出されて、
「00くん、我々は釣をしたいんだ、そこできみィ ご指南を願いたい、全てきみに任す。」
現役のとき、仕事をあまり任されたことは無かったが!
仕方なく皆を釣り具店へ案内する。 
今の釣り具店は、実に楽しい店造りを競っている。釣り具だけでなく、屋外キャンプ等のアウトドア用品がファッショナブルで、大量に満たされている。
目的の釣り具も昔と様変わりし、ハイテク見本市のようで洗練されたレイアウトに並んでいる。皆は感動したはずだ。
 
 それはさておき、00くんのアドバイスで、竿・針・糸・リール・かご・浮き等仕掛け一式、その他クーラーボックス・布製カバン・バケツ・手袋・帽子・防水用防寒具・ジャケット・ズボン・靴に至るまで手に取ってうなっている。
う-ん、こんなに必要なのか? 
ところが店員に、これらはいかに必要で優れ物か、の専用機能を講釈されるとたちまち、成る程、と感心し、少々値段の高い防寒具でも「ゴルフの新製品クラブに比べりゃ安いもんだぁ」と、小金の持っている連中、アレもコレもと手にしてレジへ。
 そのとき、さすが元総務係長の00氏、待ったをかけた。
「みんな同じ物を買えば安くなるはずだ、ねぇ部長、まとめ買いするからと、値引きするよう00くんに交渉させましょう。」 
「おおそうだ、いい考えだ、もっともだァ、」皆の同意で、その結果が・・・。
お分りでしょう、全く色柄まで同じスタイルが出来上がった、と云う次第。 

いやあ持って回ったこの推理、本当かァ!?、

ああしんどう!  


 アホウなことを想像していたが陽も上がってきて、そろそろ潮も動き始めたので真面目に海と向き合う。
暫くして、小さいアタリのあとウキが消し込んで、うまく針に乗せた。引きが強い、大きいようだ。1・5号のハリスだから無理は出来ない、慎重にやりとり、数分かかってやっと腹を見せた。 左手でタモを持とうとしたとき、突然大声をあげながらドタドタと4~5人が走ってきた。
なんだなんだ、こいつらァ?
どうやら遠くから、こちらの竿の曲がりを見て駆け付けて来たらしい。
竿とリールで前後左右と、いなしている最中に息せき切って辿り付いたあの部長、1mと離れていない水面にドボンと仕掛けを投げ込んだ。 
「取り込んでいる最中やからそばへ寄るなッ」
 こちらは悲鳴を上げるが、てんで聞くものか。やって来た連中も我れ勝ちに音を立てて投げ込む。
運の悪いときは重なるもので、そのとき小サバの大群が回遊してきて、あっというまに皆のサビキに食いつく、そしてサバの横走り。 
うりゃア!
奇声を挙げて彼等は喜び勇みたったが、たちまち此方の仕掛けとおマツリだ。 
声を出しかけた時、イバリ部長が猛烈にリールを巻きだした。やめろッ やめろッ!と叫んでも何かな聞こえるものか。
一挙に巻き揚げて竿先のガイドに絡まり、竿が折れそうになってやっと止まった、私の仕掛けも一緒に上がったまま。 

 当然、先程までやりとりしていたチヌもいのち拾い、ハリスを切ってさよならだ。 相手のサビキの疑似バリ5~6本のほとんどに、10cmほどの小さなサバがくっついている。 モーレツに腹が立ってくる。
「こっちの魚が逃げたやないか、オイ、早う自分のそのジャコを取っておマツリを解いてくれッ」。
声を荒げると、さすがに多少気が引けたのか云い返しもせず、ブ然とした顔で自分の竿先で跳ねる小魚を見つめてじっとしている。もつれた糸をどう処理していいか判らないらしい。 
そのとき横に居たオモネリ課長が云った。
「00くん、部長のを、ちゃんとして差し上げろ。」
さしあげろ、だって・・ 
60才をとおに越した00くん、口を尖らせながら小サバを取り込んだり、糸の絡みを解いたりしている間、威張り部長は海に向かって、身じろぎもせず眼を据えている。
その横顔を見ると、への字口辺のたるんだ皮がヒクヒクと動きつづけていた。
                     
        
    ふたたび、色の隠し味をどうぞ。
   
  このごろ世間に起きるもの
戦前は聖職と云われ、戦後も教育に携わって世の父兄.子供達から尊敬と信頼を受けてきた先生。
品行方正.正確無比.謹厳実直を旨とし、世の信頼を得ていた銀行員。
社会の法秩序.治安維持を護る盾として、日夜奮励している警察官。
最近、この職にある人々の醜聞が多すぎる。しかも分別盛りの年令で、特に見聞に耐えない下半身の事件等が・・・。
世間一般はこれらの職にある人たちに対し、一応は品格や知識を期待し、その代り尊敬や畏敬もする。その期待に応えるべく「私はかくあるべし」と自らを律する規範に縛られる。
まア、しかし考えれば職業とはいえ、所詮並の煩悩の持った人間に変りはない。 現今のように、見聞きするもの全て刺激的で露出挑発するような世相であれば、職業柄いつも内こうし抑圧されたぶんだけ余計、願望.欲望.妄想が強くなる。それも適当にうまく処理できる者ならよいが、日ごろ発散の術が分らない、気が弱くて小さい者ほど、突然歯止めが効かなくなってしまうのか。
むかしから、これらの職の人たちに対し蔭では『スケベの三こう』と云われていたから、本質は何ら変っていないのではないか。
がっこう ぎんこう ポリこう。

 ここで一つエスプリの効いた、書き回しはそれぞれ違うが、古典的な艶話しをどうぞ。
 
 4.ブルゴ-ニュの森
フランスは花の都パリの森にご案内しよう。
貧乏だがパリッ子で情熱的な恋人ジャンとカロリ-ナは、晩春の日曜日の昼下がり、凱旋門エトワ-ル広場から身体を寄せ合い、甘い言葉とキスを交しながら近くにあるブルゴ-ニュの森に入って行きました。
暖かくよく晴れた空、広大な森の中は大勢の人々で賑わっています。二人はいつものように、静かな木陰で思いっきり抱擁を交したくて、森の奥へ奥へと足早に進んで行きました。
小さな小川を渡り暫く行くと、小鳥のさえずり以外物音がせず、静かで小さな日溜まりをつくり、愛を囁き合うには理想的な場所を見つけ、早速二人は腰を下ろしました。
陽のあたる広い柔らかな芝生に、大きな樹木がくっきりと蔭を落としており、ところどころに背の低い潅木が茂みを作り、人の目を遮っています。
静かです。しかしよく耳を澄ますと、少し離れた茂みのそこ此処で愛を交し合う忍び声が聞こえてきます。
ようやく辿り着いた愛の交歓の場所、火のように猛っていた二人はそれらの睦言にも触発され、互いの躯の匂いを吸い取るようにせわしなく首を動かし、寸秒も惜しむかのようにもどかしげにまさぐり合いうのでした。そして柔らかい芝生の褥、もう二人には相手以外に意識するものはありません。 カロリ-ナの尻に敷いたジャンの上着の上で、獣のように激しく幾度も幾度も目くるめく愛を確かめ合い、興奮のるつぼと化して行くのでした。
目くるめく嵐のような愛の宴が続いたあと、荒い息を吐きながらようやく二人は躯を離しました。柔らかな暖かい陽の下、どちらも腰から下はしとどに濡れています。
ジャンは投げ出すように芝生に仰向けに倒れ、しばらく蒼い空に浮かんだ千切れ雲を眺めていました。
やがてようやく荒い息が治り、お互い半身を上げたとき同時に気づいたのです。 (しまったッ)・・・後始末するモノが無い。
カロリ-ナも恋人に逢う時間にそぞろ気をとられ、いつも持っているハンドバッグもハンカチも忘れてきたのです。
少しの間二人は戸惑った表情をしていましたが、ジャンは半身を起こした姿の恋人を見つめ、優しく髪を撫でてやりながら云いました。
「仕方がない 君もぼくも、かわくまでこのままで居よう」
カロリ-ナはつい今し方までの余韻に浸りながら、恋人の優しい言葉に、うっとりとして頷きました。
二人は仰向き、燦々と輝く太陽に、生まれたままの姿をさらしたのです。

さて みなさん、ここで問題! ジャンとカロリ-ナ どちらが早くかわいたでしょう?。
答・  丸干しより、ひらきのほうが乾きが早い。




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テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

酒の肴になる男(3)

  寝巻き(その後のSさん)

年末、中旬過ぎ、Sさん3日続けて無断欠勤した。

幾ら注意しても数カ月に1回程度、1日位は連絡なく休むことがあったが、3日連続は初めてであった。
自宅へ電話したが、奥さん素ッけなく「知らない」とのこと。
自分の夫が数日も行方不明なら、二児の母親として、当然心配して会社へ駆けつけてくるのが当たり前と思う反面、日頃の夫婦仲、あまり良くないことを直接.間接、聞いていたので皆は変に騒ぎたてはしなかった。

しかし特段の担当顧客を持ってはいなかったが、何しろ顔の広いSさん、暇さえあれば旧来の得意先や知人を訪ねていたので、金を扱う職業柄、疑心暗鬼で余計な心配する者も居た。
彼の行方、心当りを探すと同時に、全ての取引先をチエックするが別状なし。
すると4日目、彼から私に電話が入って会いたいとのこと。 早速部下のO君と、彼の告げた尼崎の文化アパ-トを訪ねた。 

2階建てぼろアパ-トの端で、西日のよく当る赤茶けた6帖1間と小さい台所だけ、家財はほとんどなく隅にある鏡台が奇妙に大きく見えた。 だが部屋は清潔に片づいており、女性1人の住まいとみた。
その部屋の真ん中の置き炬燵に、彼はワイシャツの上から、赤い女物毛糸のセ-タ-をはおっていた。 

「どうした?」

「へえ」 

何とも、うらぶれた風情である。
かいつまんだ話では、初旬に出た冬のボ-ナスを、年末最後の運だめしと競輪場へ、土日2日間で大半スッてしまい、残りを十三のバ-でオダ上げて、全部使い果たした揚句自宅へ午前様。 派手な夜中の大げんか、ワイシャツ姿の着のみ着のまま、家を飛び出し此処へ転がり込んだとのこと。

「ここは?」

「わしのコレですねん」と小指を立てる。

「いつからの関係や?」三ヶ月前からと言う。

「どうする積もりや」

 その時、買物に出ていたこの部屋の女性が帰ってきた。
歳の頃23~7、小柄、おかっぱ頭で色は白いが、取り立てて特長のない平凡な容姿である。 
早速お茶を出してくれたが感じがよく、礼儀正しい印象が残った。
全員座る場所もない。 外へ出て話そうと言うと、着るものが無いのでここから出られない、最初転がり込んだ時のままなので、外の風が冷たくて、あれから一歩も外へ出ていないと言う。
仕方が無いので、O君のオ-バ-を彼に貸し3人は近くの喫茶店に行った。
「今の女、M子言います」と言って女性の経歴を話した。
24才、T県出身、4年前大阪に出て来て短大へ通い乍ら、アルバイトで夜バ-に勤め、学校を出てもそのまま大阪に居着いた。 男と同棲生活も一度経験している。 3ヶ月前、飛び込んだ十三のスナックで知り合ったとのこと。 
取り止めの無い話が続いて、落ち着いた頃、彼は

「お宅ら、わし、アホに見えまっしゃろ、自分も心底そない思いますわ。自分でも判らん、どうしようもない気持に付き動かされ、アホ やりますねん。
35才過ぎたら同じ人の親でも、もうちょっと大人にならなあかんこと、よう判っとります。しかし、いつもその場になると反対の方に動いてしまうんです」

「厳しいが男の責任てものがあろうが!」

「それもよう判っとります。しかし今、家へ帰るつもりありまへん、ヨメは自立心強うて、今のマンションから一戸建て庭付きの家に移るのが夢で、生活力あるんですわ、金も貯めとるようです。自分の責任は感じますが今の処、あんな冷たい家庭に帰る気ありまへん」

いろいろ説教するが同じ繰り返し。ふと別の想念がよぎったので聞いてみた。

「ところで、今の女性のどこに惚れた?」

 すると彼は、いきいきした表情になり 「気立てです」すぐに言った。 

「情が細やかで、よう気が付いて優しゆうて出しゃばらず、清潔です。あんな不細工な顔してるからか権つくばらず、わしを時には小さい頃の母親のような気にさせてくれる女です」 
うっすらと目に涙を引いて窓外の師走を見ていた。

「それに比べ、あのヨメは成る程べっぴんには違いないし頭もええ、弁もたつ、キッチリしとる、ワシなんかには勿体無い女です。 しかし潤いが無いんです、スキが無うて息が詰まるんです」

「色柄の分らん程、洗い曝したヨレヨレの寝巻きを毎晩見せられると、なんぼわしでも気力萎えてきます。 その点、今のM子、色っぽいネグリジェ着てええ匂いつけてくれるから、何杯もお代わりできまっせェ」
「朝、顔洗うとき、うしろからさっと両袖持って濡れんように気使うてくれるし、手拭いもすぐ渡してくれて・・女は気立て第一、顔や頭だけやおまへんわ」

「わかった、のろけと女の品定めはそのくらいにして、会社はどうする?」

「えらい迷惑かけて済んません、すぐ退職願い出しますわ、気持の整理がついたら必ず挨拶に参上します。 くれぐれも皆さんに宜しうお伝え下さい」。

しあわせ薄そうなM子の顔をちらと脳裏に浮かべながら、最後に椅子から腰を上げるとき私は、
「ところで奥さんへの借金はどうした?」

「ああ あれね、あれだけは夜を日に継いで、家を飛び出すまえ利息も含め完済しました」

と、破顔一笑、さばさばした表情を見せた。



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酒の肴になる男(2)

 悪妻は三代の不作

 Sさん、三才下の妻と11才の娘、それに9才の男の子がいる。
奥さんはK女子大出の才媛でやや冷たい感じを与えるが、知的なすこぶる付きの美人である。共稼ぎで、S女子短大の家政学科の講師をしている。 
入社して1年ほど過ぎたある日、Sさん、左頬と首に幅広の引っ掻き傷をつけて出勤してきた。
早速、皆の好奇と期待の注目を引いた。  
その頃には、入社して日は浅いが店内でのSさんの印象(人は善いが金と女にだらしなく、且つ競馬.競輪.競艇.要するに賭けごとに目がない、そして極めつけの恐妻家等・・)のイメ-ジが定着していたので 特に女性らが喜んだ。
「何故だ」「何処で」「誰と」理由を私に聞けと言う。
「夫婦喧嘩は犬でも喰わん言うやろ、あほなこと聞けるか」
ところが当のSさん、飲めないのに私に「相談がある、今夜付き合ってくれ」との要請。 

「まあ聞いて下さい」

話を聞いておどろいた。 

以下、彼の話
「わしの嫁さん、アレ昔から淡白なんですわ、ところが、わしは反対に誰にも負けん位強いんですわ・・・」から始まった。
半年前、阪神競馬で大穴当てるつもりが大損し、友達に高い利息付の借金したが、嫁さんにバレて5万円立て替えて貰った。(今の価値で20万円程か)
 ところがこのヨメ、昔から夫婦でもゼニ金他人で、きつ-い取り立て。
ある日の夜、ヨメの上に乗りかかると突然1回につき500円出せと言う。

『あんた、私何も知らん思うとるやろけど、十三のアルサロの流れで1回3000円以上使うとるはずや、今まで只でさしとったけど、これからは1回につき500円貰う』

こないぬかすんですわ」 眼を赤くして悔し顔。

「しかも、『あんたは昔から調子ようOKするけど、約束ごと守ったためしゼロや、これからはするとき鉢巻しめて、そこへ500円札差し込んでやれ、終わったらすぐお札取れるから・・・』こないぬかしよるんですわ」

 「それで?」借金しとる手前、腹が立つけど承知した、しかも月5回は利息分だとのこと。

「おかしやないか、奥さんも共に楽しんどるんやろ、その分どんな計算になっとるんや?」 こちらも義憤に駆られて思わず声を荒げた。
「それが、うちのヨメはわしがシコシコやっとる最中でも、日経新聞広げて株式欄見とるんですわ」 
「ん?」
「この間なんか途中で、『まだやっとんの、ながいなァ、早う終わってえな』こないヌカすんですわ、気分乗りまへんで」 品のない、あからさまな話だがこれも相談事。
それでも、こんな状態がもう半年も続いているし、そして未だ借金は1/3も返していないとのこと。
笑ったのは、最初のころ、タオルの手拭いでハチ巻し500円札差し込んでやっていたが、部屋の間仕切りのガラスに写った己の格好の悪い姿見て、最近は子供の運動会の赤白ハチ巻に変えたとのこと。

「あんたの奥さん、去年の末、太閤園で催した会社の家族クリスマスパ-ティで見かけたが、えらい美人やったやないか、落ち着いて聡明な感じがして、そんな非常識なこと要求するんか?そんな人には見えんがなァ」
「夜、品のないこと言うヨメでも、死んだ父親は旧帝大の教授で、また母親がエラぶつなんですわ。ケン高うてわしをいつも陰で『町人風情が』と言うとるらしいんです。それだけやないんですわ、ワシの娘も最近受け継いで、母親そっくりになってきよって命令口調になり、
『お父さん、お母さんを労ってやらんとあかん、また、もっとしっかりして私ら大きいなるまで養ってや』 こんなこと言うようになりよって、ほんま昔から悪妻は三代の不作とはよう言うたもんや」とため息をつく。

「ところで引っ掻き傷はどうした」 ようやく本題に入った。
「ゆうべ、あいつ、久し振りに新聞見ずに途中でヨガリ声出しよるさかい、こっちも大いに気分乗って、改めて突撃に移りかけたとき にょうぼが、
『下から見てると、あんたの格好、ほんまおもしろいわ』言うてケラケラ笑いよった「アイツの下腹ゆれて力が入ったのか トタン、こちらのがすぽっと抜けてもて・・・ほんなら舌打ちしよりますんや、腹立ったさかい思わず横っ面張りっ倒したんですわ」
聞いたこちら、心の中で(やったァ)
ところが即、反撃に合い、それからは二人で下半身の闘いから、全身の戦いに移った結果、このような負傷となった始末、との話。
「わし、もう我慢の限界ですね、別れたろ思いますねけど、どないしたもんでしゃろ?」 世の中いろいろの夫婦が居るものだが、穏やかならぬ相談。
 それからは、男は度量、ならぬ堪忍するが堪忍、昔、戦時中の修身で習うたやないか、と「韓信の股くぐり」の故事まで出して、意見.訓戒.慰めを続けた。

「股くぐりねェ」 浮かぬ顔のSさん、初秋の夜が更けて行った。 

テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

海外旅行

 女性グル-プ

老いも若きも女性が多い。 とりわけ50才台を中心にした女だけのグル-プは凄い。 とにかく集団だから、にぎやかなんて生易しい表現では追っつかない。けたたましく騒々しい。 傍若無人で厚かましい。 おんなの中の女、大阪のおばちゃん連中ときた日には周りは悲劇。
なぜ50才台はうるさいのか?  個人差はあるが、総じて40才台はまだ羞恥心の残り香があるし、60才台はエネルギ-の持続力が弱るからか?!
その点50才台は、体力気力とも充実、羞恥心など母親の胎内に置き忘れてきたとイバっているように思える。



 母娘づれ 
 
最近の特長・・・なぜ多くなったか? 母親は日本語以外まるでだめ、従って一人では行動できないので娘をアシスタントにする。  娘は概して30才前後の独身でOLか家事手伝い、そして旅行費用全額、母親もち。 留守番のおやじ、何かにつけて気に病むこともなし。 三者メリット大。


 旅行目的
 
旅を重ねると、同行者と食事どきを機会に、だんだん打ち解けてくる。
「おたく、どちらから?」から始まって・・・
そんななかで、必ず「年に◯回旅行する」と回数を自慢するのがいる。 
このあいだ、年に10回は行く、と言っていた84才と77才の夫婦がいたのには驚いた。 地球のあらゆる処へ行っているらしい。 もちろん北欧、極北から南米の秘境まで、あちらへ行った、こちらへいったと独演会。 最初は興味もあって聞いているが、コンゴからグアテマラまで話が飛ぶと、しらける。
こんな人達の旅行目的は、見聞よりも旅先で回数を自慢するためか。



 お買い物

女性のブランド指向、これはもうほとんどビョウキ。それとまるっきり反対の安価な土産ものにも目がない。 旅行会社も心得たもので、日本語の通じるショップへ頻繁にツア-客を送りこむ。
ロンドンで、先客に商品を買い占められ、後続組が空の棚を悔しそうに眺めている現場に出くわしたことがあった。
またパリのルイ・ヴィトン店で、ケ-スから鞄を勝手に出して警備員にかっぱらいと間違われた日本の御婦人が居たらしい。 対面販売システムを知らなかったらしい。 
      
                       
 写真さつえい 

これはもう日本人は、いつでも何処でも撮りまくる。
ガイドの説明そっちのけ、目的地へ歩く途中や・遺跡・史跡・通行人・立ち入り禁止の区域であろうが、美術館の禁止場所であろうがお構いなし。 それもフラッシュをたくため、よけい目立つ。 旅の恥は撮りすてか!
ところが帰国して、「これどこやったかいのう」と首を傾げている姿が目に浮かぶ。



 治安

どこの国でも現地着と同時に、迎えのバスの中で「日本とちがって治安が良く無いから十分気を付けて」と、口をすっぱくして具体例まで持ち出して注意を受ける。 が、さて...
ロ-マ市内・・・午後自由行動 
「ここで解散しますが本日はタクシ-ストのため◯◯時、この場所にバスが迎えにきます。ぜったい他所へ行ったり時間に遅れないように」 
添乗員は地面を踏んで何回も念を押した。
 集合時間の少し前、男1人をまじえた4~5人の女性の集団が、その場所で待っていると子供を抱いた中年女性がやってきて、案外流暢な日本語で、
「場所が変ったので案内するからついてこい」
といわれ、子供を抱いているのに安心し、その言葉に乗って皆が付いていった。 約5~6分歩き狭い路地に入ったとき、後ろから怪し気な男数人がついてくる。誰かが「おかしい」と言い出し、強引に戻ってきた。 被害は傘をかっぱらわれたとのこと。
「まあ傘1本で済んでよかった」
皆で慰めた。 やっと迎えのバスがきて乗込んだとき、
「あっあの女だ」と騒ぐ車内。窓外を見ると、どこからか再び姿を見せた、くだんの女、大きな声の日本語で
「お気をつけて-」
しきりに手を振っていた。
                              


 中国、広州

 着いた初日、夕食の丸テ-ブルを囲んだとき40才台の男性「スリにやられた」とのこと。 
 ホテルに着いて添乗員にカギを貰い、満員のエレベ-タ-に乗った。 「腹の前のウエストポ-チから7万円」しかも、なん層にも仕切りある中から、お金だけとられたという。
聞いていた正面の温厚そうな初老の男性、思わず自分の尻のポケットに手をやり、
「あれッ、わしもやられてる」 
 みな一斉に「幾ら?」 頭を掻きながら「2~3万かなぁ」 鷹揚な男。
他に当夜エレベ-タ-のなかで被害にあったのは4人、総額14~5万円だったらしい。 この旅行参加費、お1人様2泊3日29、800円。
 





テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

おんなの生態/2

パソコン狂時代
女性と老人のパソコン信仰者が急増している。
最近、政府のお声掛かりで小学校からパソコンを教科に組み入れられることになったから、とくに子供の持つ主婦の間でなだれ現象が起こっているらしい。
子供に教えなければとか、子供と共に、また子供について行けない等、 
さらに、パソコン操作ができないなら21世紀は生きて行けない、とばかりの焦りでとりあえず新聞社の文化教室パソコン講座へ。女性と老人の多いこと。

 ひととおり操作講習のあと講師は、これからのパソコン時代について演説する。
「すでに切符やチケットの購入、旅行・ホテルの予約、音楽配信、電子ショピング仮想商店街、お金の振込み決済、その他デジタルカメラで撮影した画像をそのままパソコンに取込み転送等は常識だが、これからはデジタルITの時代、携帯端末を使って外部から指示し、不在でも家電機器もすべてコントロ-ルしてくれる双方向通信の時代に入ったユビキタス世界の入口に差し掛かっている。」 なんてアジられると自主性がなく、すぐ舞上がるくせのある人たち、さっそく旦那を脅迫しパソコンショップへ、老いも若きもこの調子。

その結果、パソコン教室の繁盛はもとより、当然販売店も売上げが毎期倍増でホクホク、出張レッスン・アドバイザ-などが多忙を極めている。
日本のGDPの60%を占める個人消費が低迷する折から経済効果に寄与すること大、まことに結構。
何さま時間だけはたっぷりある連中、インタ-ネット・ホ-ムペ-ジ・eメ-ル等、
つい数年前まで聞いたことの無かった言葉、その他やたら専門用語が
それも横文字が出てくるとなれば、これはもう 時代の先端に首を突っ込んだ気になるし、虚栄と優越感をいたく満足させてくれる。

特にインタ-ネット、これは聞いただけで10年前まではSF電脳の世界、それがいとも簡単に、個と個、個と特定多数、そして世界中と会話できるではないか、自分もこれでコスモポリタンの仲間入りができるか。(外国語はさっぱりダメだが!)
変に小ちゃなことにケチで欲深い人に限って、多機能のある機器をネギり倒して買って帰った。さあ・・・
専門用語ばかりで、読んでも判らない分厚い説明書は最初から敬遠し、操り人形のように側から指図されながら操作していたのが、とりあえずホ-ムペ-ジなるものを開けてみたら、こんな面白いものは無い。
浦島太郎じゃないが時の経つのも忘れて、日がな一日他人のペ-ジを覗いている。
そのうち自分も開設したくなったので、95%周囲から助けられ出来上った。わくわくしながらアクセスされるのを待っているが、どこからも来ない。

待っても来ないなら・・・とそこで(パソコンをやっている)自慢を押し殺して、さりげなく親類・縁者・友達・知人、あらゆるコネに電話を架けまくる。
一方、旦那のほうは毎日職場でテクハラ(テクノロジ-ハラスメント)いじめに泣かされている。
青春時代、マンガ本だけを貪り読み、職場でも年功序列で役付になった40男、従来アゴで部下に命令していたリ-ダ-シップが最近通じなくなってきた。
30才未満の部下は機械類をゲ-ム感覚で、いとも簡単に操っている。
会社はリストラもさること乍ら、合理化の美名のもと、全職場の1人に1台パソコンを設置され、自分で操作せねばならなくなった。
eメ-ルと称するのを嫌でもやりとりしたり、ペ-パ-レスと情報のスピ-ドから、すべてパソコン内で上意下達、自分でE会議は仕切らねばならない。
そのため、総じて出来のよくない部下でも、また特に、暇さえあれば手鏡を覗いて顔面を動かしている女子社員に、自尊心を押し殺し教えを乞うが、日頃あまり好かれていない上司、つっけんどんに答えられ、うなり声をあげる毎日。こちら、また覚えが悪く忘れっぽいときている。 何回も同じことを聞くから、アテこすりや嫌みだけでなく、終いには、陰で無能呼ばわりされる始末。
少しでも“ご機嫌“をと、会社は経費節減のなか、ポケットマネ-で食事にでも誘えば、セクハラするんじゃあない?と疑いの眼でみられる。

いっぽう自宅のほうでは、女房が午前中に簡単に買い物を済ませ、帰るなりパソコンの前に座る毎日。 子供が帰って来るや、
「タコ焼き買ってあるから、チンして食べて、おかあさんにも頂戴。」 
子供は、「またァ」 といい乍らあきらめ顔。
左手にツマ楊子でタコ焼きを口に運びながら、右手人さし指一本でチョンチョンと雀がエサをつつくような操作に熱中。
今日も元気だ、タコ焼きうまい。

またある家の中では、昨年死んだ亭主から名実共に自由解放、仏壇の遺影に尻をむけ、背中を丸くしている。 今朝電話で聞いたが、すぐ忘れてしまった操作方法を思い出しながら、スクリ-ンとにらめっこしているおバアさん。
今日も元気だ、亭主がいない!

ところが数カ月経つと毎月の電話料、あちこちのプロバイダ-からの使用料が、びっくりするほど多く請求を受けガク然となった。 当節の女子高生のように、お手軽に援助交際で稼ぐわけにもいかないし困ったことだ。

平成12年6月7日付・日本経済新聞の記事
N社がパソコンを、購入から1年以内なら店頭価格の半額で買い取るサ-ビスを始めた。対象は初心者または年輩の男性客のみ
「話題の新商品を買ったけれど、どうも自分には使いこなせない」と悩む消費者に対するサ-ビス
条件は 初心者・・インタ-ネットの設定を店頭で依頼した人。
    年輩者・・50才以上と見られる客。

テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

おんなの生態/1

ああ、おんなとは?

こちら、いくつ何歳になっても女という生き物は判らない。

理解しようとする努力が足りないのか、性別が違うのだから解ろうとするのがどだい無理なのだろうか。
しかし、男であっても女性の心理を、こころ憎いほど筆先で表現する物書きの先生たちがいる。 女性以上に情感心理を洞察し、共感を呼び紅涙をしぼらせるに至っては、これはもうほとんど芸術的で尊敬に価する。
それはおそらく対象を女性に限ることなく、人間本性に立脚したうえの深遠を洞察しその分析に基ずいているからだろう。
ところが、こちらは男にとってまことに、都合勝手の古きよき時代に生まれ育ったものだから、女性を理解したつもりなのだが、あくまでも皮相的で独善的であるらしい。

なにしろ 「女三界に家なし」に始まり「女子と小人は養いがたし」「女の偉いのと朝焼けは当てにならん」「おんなは台所へ閉じ込めておけ」果ては「女と牛の尻は三日にあげず叩け」等・・女性べっ視に彩られて不足のなかった周りに影響をうけて育った男である。 まあ私だけが偏見にみちた特異人間でもなさそうなのが。 

例えば医学を志したが大学で産婦人科を選んだため、親から仕送りを止められた類いは、当時別にめずらしいことではなかった。
今でも大峰山や相撲の土俵は女人禁制である。
また一般的に、女とは従順でつつましく賢く行儀作法をこころえ、三歩さがって夫にかしずくのを美徳とされた。 幼くして親に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従う、 鉄寛による旧制第一高校寮歌に「妻をめとらば才たけて見目うるわしく情けあり・・」
きょうび何処を探せばこんな女性にお目にかかれるか!?
さはさりながら、げにオソロしきはこれまた女性、 おんなの執念深さと恐ろしさについては語り尽せないので、別に項を改めるとして・・・  
女は死ぬまでに何回も呼称を変える。
昔の常識では最初5才位までが幼女、つぎが少女、そして娘、それまで20年妻、嫁、母までほぼ25年、祖母15年、だいたいこれ位であの世からお呼びがかかった。
その時代はまた多産だったから母の時代が長く、いつも忙しく立ち働いてい
る皺の刻んだおふくろの姿が子供の脳裏にある。

 当節、家事も電化がすすみ、そのうえ少子化で昔にくらべ女房の空き時間がおそろしく増えた。今は30才前半までに、子供のつくり止めをするから母である期間が短く、子供が成人する時は昔と違って、未だ活力色気がたっぷりと残っている。
 いま女性の平均健康寿命が80才を超えたらしいから、旦那のことは別にして自分の持ち時間はナンと約40年間もおんなが続く。  特に戦後、保険衛生と富栄養化がすすんでいるため元気はつらつ。
母とは名ばかり、子供を年少組の幼稚園に追いやってからは、サア自分の時間をどう使うか? 老も若きも。
そばから見ていると一所懸命バカやっている。
バブル期に流行ったゴルフやグルメに代わり、総中流意識がますます強くなり、絵画展覧会、音楽演奏会、古墳の現地説明会、国内外旅行、ショピングからエステ、健康食品等・・・とくに美容・健康と名のつくものには異常な関心を示す。
近頃 都に流行るもの・・・ガ-デニングと、パソコン、そして海外旅行

ガ-デニング
百貨店のガ-デンコ-ナ-やホ-ムセンタ-へ行けばどれ位いのブ-ムか判るというもの。 あらゆる種苗から施肥料・消毒機.鉢容器類・飾り棚から水車付きの箱庭まで。 自宅の空間を利用しての、これも今流行り癒しの感覚を満足させるため眼いっぱい演出している。ここでも客は圧倒的に女性客が多い。最近とくに色彩豊かな洋ものが幅をきかし、◯◯アドバイザ-なるものがテレビ新聞雑誌あらゆるメデイアに登場、 土など触れたことの無いような指先で懇切に解説してくれる。
いままで、買ってきた鉢植えに青虫一匹いても金切り声をあげていた。
それが、帽子・マスク.ゴムなが.手袋のうえにゴム手袋をはめた、まがまがしいお百姓スタイルで、ヴェランダや猫のひたい程の門から玄関まで、色彩を溢れさせている、 まことに結構なこと。
しかしこれも暫くすると、腰痛などで指圧マッサ-ジ施療院の繁盛と共に、数年を待たずにプランタ-や鉢がドロをかぶって庭の角に転がることだろう。

テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

大阪のおばちゃん

長らくお休みをいただいておりましたが、復帰いたしました。
これからは、今まで書きためていたエッセイや新作も含め、公開して参りますので、今後もよろしくお願いいたします。

復帰、第一弾は、エッセイ「大阪のおばちゃん」です。
数年前に書いたものですので、少し、時代差があるかと思いますが、ご了承ください。

「大阪のおばちゃん」

 80年代にテレビで、一般常識から少しはみ出した厚顔な中年女性の日常行動を、月一回「おばちゃん」シリ-ズとして放映、人気番組となっていたのを皆さんご記憶に持っておられるだろうか。
中でも特に大坂弁の集団が凄かった。
また最近特に、それに追い討ちをかける様に、関西の芸人が漫才や落語でよくその言動を誇張して、笑いのネタにしている手合がいる。
それがいつの間にか、「大阪のおばちゃん」とは、大袈裟ではないが、日本女性のなかでも独特の異人種(エイリアン)的実像となって、固定化されつつあるのではないか。 そうであれば誠に残念至極である。

 時々海外旅行に行くが、そのツア-客は北海道から沖縄まで、広域地区から参加している人達が居るので、大阪のイメ-ジを聞いてみると、
なんといっても、話題のエロ知事のセクハラが異口同音、一頻り飛び出してくる。 次が吉本の芸人.たこやき,そして小さな声で『大阪のおばちゃん』という。 
 
 大阪のおばちゃんの特長を、列挙してみると、
 お買い物ポイント.シ-ル.カ-ド等おまけものに異常な執着心を示す。
か、と思うと、訪問セ-ルスマンやテレホンセ-ルのおだてにコロリと参り、衣類、ふとん、生活機器や化粧品に○十万円をいとも簡単に買い決めをする。
改まった外出には「よそ行き」と称し、ありったけ着飾って出てくる。
それではどんなイメ-ジを植え付けたか、少し推測独断も交えた特長は、

   賑やか やかましい けたたましい 声太く大きい
   傍若無人で不作法 厚かましい ケチ 羞恥心なし
   首太い  厚化粧 頭は仏さんヘア- 部分染め

 その他、光ものブランドもの好き、美的感覚アンバランス、マタニティブラウス愛用、二人のときはブ遠慮にネメまわす、三人以上(集団)となれば、ガ然攻撃的。 しかし一人だけのときは、からっきし意気地がない。と、まあこうなるようだ。

 ちょっと待って。 皮相的に観察すれば、そのとおり、そのとおりには違いないが、少し違うんだなあ、これが。 だから弁護したくもなるではないか。
やりましょう肩に力を入れて。自然弁証法的に論じてみよう、おばちゃんの為。
まず、「敵を知り己を知れば百戦あやふからず」、孫子の兵法を持ち出すまでもなく、もう少し、大阪おばちゃんの内面的分析を続けようではないか。

そもそも、この俎上にのったおばちゃんの年令公約数は何歳ぐらいか。 
冒頭に述べたテレビの「おばちゃん」シリ-ズをあざ笑い、怒りながら観ていて「そんなん、なまったるいわ」とセセら笑うのは、だいたい40才前後からか。
 どうでもいいような事に、こだわったり喜んだり、また優越感を持ったりと、とにかく一貫性に乏しい。
バ-ゲンセ-ルの情報をより早くより多く手にいれ、他人に遅れをとるのを嫌い、鼻の頭に汗をのせて現場に駆けつけ、子犬が大急ぎで穴を掘る様に、周りの物をハネ飛ばし、目ざすものを手にいれ、ため息をつきニヤリと笑む。
どうも日頃から着慣れていない為か、金目のもの、光もの、値段の高いものが自分に似合うと錯覚するのか、とにかく賑やかな色彩である。
膨れきった下腹を被すのによい、ムウムウに近いワンピ-ス、首.胴.みみ.手首に輪っぱを巻き、ジュズ玉のれんが歩いているような女性にお目にかかる時が多い。
伝統的に洗練された京都.おしゃれの神戸から50Kmも離れていないのに、色彩と美的感覚が少し違うのは確かだ。 これくらい、おばちゃんの対比分析をすれば十分だろう。
            
長らくお待たせいたしました。
さて、大阪のおばちゃんのため、大いに弁護の論陣を張ろうじゃないか。
 まず長所・・・・総じて明朗、親しみやすく庶民的、単純で涙もろく、情厚い、土着性が強く家族の絆を守り献身的。 多少視野きょうさくの気、無きにしもあらずだが、反権力的な思想が強い。 弱い者にめっぽう味方する判官びいき。
「可哀相やないか」が行動の規範。 どこやら生っ粋の下町江戸っ子によく似ている。 おばちゃんだけではないが、これが時にはヘンな知事を選出する孵化機(インキュベ-タ-)の役目になる時もあるが。
そして、ここがエラい。頼り無い旦那に尽くし叱咤激励。「おばはん頼りにしてまっせ」まるで織田作之助の夫婦善哉。こんなお母ちゃんが、やたら多い。 
最近のキャリアウ-マンのように肩に力を入れ、教養と実力で対等を主張しなくても自然体で確実に主導権を握っている。
 遊び好き、新しいもの、珍なもの好き、何でも取り入れるバイタリティ-
食い道楽・・大阪の喰い倒れ、食の街大阪で旦那に口を譲っているが案外、おばちゃんの食に対するドン欲さは他の都市を圧しているように思う。
TVの料理教室などは所詮、食材や調味におもいっきり金と時間をかけて最もらしく言葉で食べさせているが、大阪は実質さが売り物だ。
お好み焼き、タコ焼き、おでん、うどん、極めて庶民的だがうまい。 休日、たまに名の通った料理屋に行ってみられたい。 フグ鍋など主婦が全て采配を振って、食いまくっている家族のなんと多いことか。

  ここまで書いてきて、やや戸惑っている。
どうもこんな女性像は、大阪に限らず何処にでも居るのではないか? 
 なにもおばちゃん族は、関西圏に限って発生しているのではなく、全国至るところ密度の差はあれ、どこでも見られる原形のような気がする。
 場所柄をわきまえない大声と、特に、笑いを取りたい大阪芸人などが使う下卑た大坂弁が、おばちゃんを実態以上、地方区から全国区に押し上げただけではないだろうか。
その証拠に全国の女性のみなさん、以下の例、ご経験ありませんか?!
「焼肉食べ放題1500円、子供(園児まで)500円2時間以内。但しpm2時~5時まで3割引き」
主婦5人、小柄な小学生も混じって子供5人、アコ-デオンで仕切った一応個室。 大皿肉のお代わり4回、 約1時間で母子全員、胃袋からせりあがってくるほど、たらふく食った。
さて、母親連中、やおらリュックから密閉容器を取り出す。 一人が箸で各皿の残った生肉を1ケ所に集め、頭数・均等に分ける、それを皆手際よく容器に詰める、その速さ、慣れたものだ。
「もうひと皿もらおうか?」誰かが言った。 みなが賛成。 ベルを押して
お代わり注文、係りが出て行ったとき一人の子供が、

「お母さん、しいたけや野菜は持って帰らないの?」

「まァこの子ったら、ハシたないこと言いなさんな、オッホッホ」

「だけど、この前スキヤキのとき、ビニ-ル袋に入れてみんな持って帰ったじゃないの!」

叱られた子供は膨れっ面。

「まァ○○ちゃん、小さいのにしっかりして、大きくなったらいいお嫁さんになるわ」

「そうか、ビニ-ル袋ね」 別の母親が感心したように呟くと、その娘が、

「お母ちゃん、ス-パ-の袋持ってきたわ、これだったら見えにくいよ」

 どれもこれもしっかりしている。
注文した1皿が届けられ、またガヤガヤと大急ぎで分別作業が始まった。
その時「失礼します」音もなく現れた係員。 とたん皆の動作が一斉に硬直。
ドアに向かって正面の主婦、箸で挟んだ生肉を思わず口に運んでいた。

要するにいま貴女が、おばちゃんの二軍.予備兵.幹部候補生を、日夜、キ
メ細かく、ねんごろに教育指導しているのではないだろうか。 
 
(追記) ベスト選び流行りの昨今、‘00年9月12日 日本経済新聞にこんな記事が載った。
関西経済同友会のアンケ-ト調査「関西発.世界に誇るものは・・」
1位 インスタント.ラ-メン  2位 明石海峡大橋  3位祇園祭・・
と続き・・・そこで我らが関西のおばちゃん 堂々49位、 如何。


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