應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死11〔第二章〕・四十九日(幽冥界.黄泉)4

四十九日(幽冥界.黄泉)4


 寂とした黄泉の途を歩いて、三途の川のほとりに来て驚いた。

突然、一転して陽は照っていないが、眩しいほど明るい場所に出た。 

それはまるで球技場前の広場か、カーニバルの入口のような所で、喧噪を極めている。

 ざっと見渡した広場はアーチ型で、五色の色彩に溢れた門が三ケ所あり、各門の前で、衣装をこらしたピエロのような格好の男女が、大声で呼び込みをやっている。
 
広場の真ん中では派手なTシャツを着た、髪の毛を紫色に染めた青鬼や、白いアラビア風の裾の長いガウンに、袖なしの黄と黒の虎シャツを着た赤鬼たち10人ほどが、短いプラスチックの鉄棒を振り回し、陽気に様々なパホーマンスをやっている。 鬼といっても頭にそれらしい角を付けているだけで、風貌は人間と変らない。
どうやらそれぞれ六道へのゲートに誘導する為の競争らしい。

生前聞かされたり、想像していた光景とおよそ懸け離れていて、にわかに信じがたい。 思わず頬をつねってみる。

 右手前に岩組みの大きな建物があり、その入口に大勢の亡者が、縦四列に整然と並び、長い本当の槍を持った青鬼たちが、何人もその行列を監視している。
 何ごと? よく見ると入口上部に、大きな文字で、

「閻魔法王庁.六道(地獄.餓鬼.畜生.修羅.人間.天上)の選別所」

と大書されている。

私は監視している鬼の一人に ここは?と聞くと
「前世の業因によって、どの六道に行くかエンマ様が選別されておる、お前も並べ」と云い、有無を言わせず後尾に付かされた。

私より前に並んでいた、60歳台の男性が話しかけてきた。
「いよいよ極楽.地獄行きの、閻魔大王から裁きを受けるドタン場に来ましたな」 と気やすげに話す。 そして、
「この世もなかなか大変らしいですよ。娑婆が最近、えらーい平寿命が延びて、こちらへ死人がなかなか廻ってこなくって大不況、それでリストラばやりで。あそこで呼び込みやっている連中、みんなアルバイトらしいし、その上ここより娑婆のほうが大不況なんで、最近反対にこちらが通貨高になり、よけい不景気になっとるらしいわ」

なんとこちらの世のことを、よく知っている人だ。 つい、 
「えらいくわしいですな 一度こちらに来られたことあるんですか?」
聞いた途端、蔑むようなブ然とした顔で見返されたが、私のうしろに並んでいた、瓜ざね顔40才前後のきれいな女性が、くすっと控えめに笑った。



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