應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死19〔第三章〕・せいの謀りごと2

せいの謀りごと2

 このあと、せいは予定の行動として縊死(いし)し、生前事前に用意した臓器提供カードに基づいて、4箇所の臓器を前世に残して黄泉に下って来た。

そして途中、物色していた男の中で、よねぞうをターゲットにしたのだ。

なぜよねぞうか? 聞かれれば首をかしげ、少しの間考えて
「可もなし不可もなし ちょっと頼りないけど 気の強いあたし向きかな・・・」となる。

拙速で謀りごとが、よねぞうに気取られないよう、せいは慎重に事を運んだつもり。 来る船の中で少し復讐の本心をさらけさせた後悔がある。 しかし婚姻届けを出した後もこの半年、よねぞうに極力好感を持たせるため、自分の本性を押え、夜もできるだけサービスに努めた。 よりをかけた手管で、よねぞうはいま私を信頼しているようだ。
また 生れて一度も住んだことのない高層マンションを買い、そして20階という階を選んだのも、万一よねぞうに逃げられることを想定し、出入りの扉以外、出口のない箱に閉じ込めたかったからである。
すこし早いなと考えたが結婚を要求した。 抵抗するかと思ったが、単純なよねぞうは案外あっさりとOKした。

結婚後も、けどられないよう言動には細心の注意を払い、弱いくせにセックスが何より好きなよねぞう。 それに前世でご先祖との約束ごとでもあり、今まで以上に濃密に応じるようにしていた。 
反面、折角手に入れた男を腎虚(じんきょ・・房事過多による著しい衰弱症)になられては困る。 最近やや痩せて生気に欠けてきたように思ったので、精力剤やサプリメントの類い(例えば・・黒酢.うこん.きのこ類.まむし粉.体力増強にビタミンやミネラル.ベーターカロチン.クルクミンなぞの多く含んだ錠剤など)を、胃をこわすほど飲食させている。
中でも自分も心の中で笑いながら、イモリの黒焼きの粉を、野菜に炊き込んで食べさせている。(イモリの黒焼きホレ薬 恋しい人に振り掛けろ 想いが通じ恋が成る・・俗謡)

もう逃げ出さないだろうと、今日初めてよねぞう独りの外出を許した。 よろよろ出て行くうしろ姿を見て、この頃自分のほうが積極的になっている、夜の営みを少し控えようと思った。


さていよいよ時空技術を操り、前世に行く腹を固める頃合だ。 頭の中は様々な想いが去来する。 その前に よねぞうをどうしようか と迷っている。 置いていこうか?連れていこうか?それが大きな問題だ。(まるでハムレット!)

置いて行くのが一番いいのだが、今まで一緒になって離れたことがない二人。 それが何処へとも云わず、突然何日も留守をし、姿を消せば疑うに違いない。

また連れて行くとして、目的の全てをさらけ出せば、私の執念深さが気の小さいよねぞうを、恐怖の底に落としこむかも知れない。 どうしたものか?

よねぞうには今まで私の良い面ばかり見せて来た。 半年が経って、いつの間にかこの頃の私は、よねぞうに愛情を感じ出している。 
だから自分でも、時には自己嫌悪に陥るほど憎愛の激しい執念深い嫌な性格、この月の裏側を、よねぞうには絶対に見せてはいけない。

 ここまで、とつおいつ考えてやっと出した結論は「連れて行こう」となった。 私はあの人が好きだ。 離れられないのは 執念ぶかいこの私のほうだ。


しかし一緒に行くとしても、私が前夫に復讐している間、始終くっついて離れてくれないのは大変困る。 あれやこれやこれから詰めて考えなければ・・今年唯一ゆっくり帰れる前世のお盆がすぐやってくる。 せいは気が焦る。
  



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