應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

よねぞうの死22〔第三章〕・せいの謀りごと5

せいの謀りごと5


8月12日早朝から三途の川のほとりに、前世から来た者や、何処かに行く大勢の亡者たちが船待ちで、ごった返している。 よねぞうとおせいさんは、そこから少し離れた小高い山頂から、暫く蝟集する人達を眺めていた。 

当日の二人は、平安貴族を真似た服装で、目一杯おしゃれな姿で立っている。おせいさんは、鮮やかな緋の袴が一段と映えて、きれいに見える。

「ここから空を飛んで行くの あたしが念に集中し、切るまで黙っていて・・
私が空中に浮かんだら、あなたは私の身体に乗る そのとき必ず上を向いて、お互い背中合わせに乗って 私は下界 あなたは空を見て飛ぶの」 

 なぜ俺は下界を見たらあかんのか?と聞くと、
「あたしの最初のご先祖(役行者)が下を見ていて、女の人の姿に驚いて地上に転げ落ちたんだって・・あなたも相当スケベエそうだから危ないわ・・」

(む?・・あれは確か久米の仙人と違うのか? いやなことを云うヤツ  と思ったが、まアええわ) そのとおりなので黙っていた。


空に浮いた。
最初ゆっくりと上がったが、地面から1Kmで水平飛行に移り、よねぞうは云われた通り、おせいさんの背中に上向きに乗っている。 それはいいが、おせいさんが少し頭を上げて飛翔しているので、頭同士がかち合って乗り心地が悪い。 空はどんより曇って愛想がない。 暫く辛抱していたが少しずり下がった。 と、下半身がおせいさんの腰を抜けて空中に垂れ下がり、極めて不安定になる。 このまま空中に放り出される恐怖で、慌てておせいさんの両脇を逆手で掴み、しばらく辛抱していたがいいことを思いついた。 そうだ 体位を逆にすればいいのだ。 おせいさんに諾否を聞くと「勝手にして」と云われたので早速反転して、相手のふっくりした尻に頭を乗せた。

 これはエエ、まるで弾力のある羽毛ぶとんの上に寝ているようだ。 うす布を透して豊かにせり上がった尻の割れ目は、頭が安定し楽チンだ。

よねぞうはイタく気にいった。 昔から おんなの尻に敷かれる と云われるが、俺はいま、その逆だ。 

「男の本懐ここにあり」 気分が高揚するではないか。 

思わず陶淵明の「帰去来の辞」の冒頭が、頭に浮かんだ。
「帰りなんいざ 田園将に蕪(あ)れなんとす 胡(なんぞ)帰らざる・・」

こうして よねぞうとおせいさんは、彼岸から懐かしい俗世に戻って行った。


さて その先に何が待ち受けているのやら? 乞う ご期待  
  


にほんブログ村 小説ブログへ

ブログランキング 
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。