應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死28〔第四章〕・おせいさんの実家

おせいさんの実家

今日も暑い。 よねぞうは今、京都から電車を乗り継いで、千里の自宅を目指している。
ゆうべ嫌な夢を長く見た。 そのうえ今朝のおせいさんは、あの世で「娑婆に戻りたくない」と、ぐずる俺を無理やり連れてきて、今度は「今日 元の家族に会いに行く」というと嫌がった。 変なヤツ・・
 さて、昨日立ち寄ったが不在だった実家。 いくらなんでも中元の今日はお盆休み、居るだろう。 よねぞうは揺れる車中で回想する。
死の直前、ある新聞の読者欄に「亡き夫といまも夢で会っている」という表題の投書。 それは50才の主婦が、15年まえに40才で病死した亡き夫を偲び「短かかった結婚生活の愛の充実した日々、今もときどき夢で会っている」の記事を目にして、イタク感激した。 比翼連理の物語りではないか。
生前、その記事を女房ドノに読み聞かせ 「昔から親子は一世、夫婦は三世というて、来来世まで、深い契りを結ぶのが夫婦らしい」 と云うと、
「あほらし、あたしは女に生れて損したと、いつも思ってる。 こんど生れ直して来るときは、ぜったい男。 まして、あんたなんかと二度と会いたない」 
味もソッケもなく、鼻でセセらわらっていたが・・果たして今はどんな心境で、
どんな生活を送っているのか、あまり期待せずに見てやろう。

門を入るなり家の中で、はじけるような声が聞こえてきた。 大勢居る。 みんな元気でいるらしい、まずは安心。 玄関を入るとはっきりした。
仏壇のある表の間に全員集まっている。 にょうぼドノ.長女夫婦.善二郎一家5人.の8人、源三郎だけがいない。 どうやら今食事が始まったようだ。
私が昨年秋、垂水の沖で漁ってきた小アジの空揚げ.柿の葉ずし.マグロ.ハム.ロ-ストビ-フ.〆サバ.野菜の盛り合わせ.煮豆.およそ精進料理にほど遠い内容。 それにワイン.ビ-ル.冷酒.焼酎.ジュ-スとテ-ブル一杯に広げ、嬌声.奇声.ド声.子供たちの声が入り交じり、何とも陽気だ。
仏壇に入り、真新しいが、けったいな戒名位牌 「祥最名院偉闇変香居士」の中から、暫く様子を見ることにする。

善二郎の子たちは、代るがわる仏壇の前に来ては鉦をならし、小さい手を合せ、末っ子の吉クンは「うう あん」と、きばる。 姉の秋ちゃんは「絵が上手になれますように」 長女の夏ちゃんは「体操の逆上がりができますように」
よく聞いていると要求ばかりだ。 なんでもエエ かなえてやるぞ。

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