應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死32〔第五章〕・よねぞうの考えごと3

よねぞうの考えごと3


人間界ではそろそろ春の彼岸の入りが近い。

昨年お盆に、おせいさんの臓器提供をうけた患者の、その後の見巡りを兼ねて時空超えで二人は人間界へ行ったが、その年の秋の彼岸はこちらで過ごした。 まあこちらに帰って1ヵ月しか経っていないんだから・・・

昨夜おせいさんが、夕食後の片付けをしながら何気なく、春の彼岸が近づいたわね とつぶやくように云った。

その時よねぞうはすぐ(また行くつもりか?)と思ったが、聞こえぬふりをして黙っていた。 
よねぞうとすれば、自分の家族にも会いたい情は動くが、それより今はおせいさんの胸の内の深層だ。 聞いてもはっきりと云わないが、去年行ったとき何やら、前の夫に復讐のような仕掛けを施した気振りがある。 それを折りあるごとに遠回しに聞くが、ニべもなく取り合わない。 何をどうしたか分らないが取り敢えず、よねぞうにすれば係わりのないことだ。

しかし元来小心者のよねぞうは、そんなものを見聞きしたり、ましてや事件事故なぞに巻き込まれるのはご免だ。
しかしおせいさんの性格から推して、決めたことは止めないだろうから、多分今度の彼岸には行くだろうと思った。 しかし今見た短い夢も何かの予兆暗示かもしれない と、悪いほうに考えが転がって行く。
 


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