應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死33〔第五章〕・よねぞうの考えごと4

よねぞうの考えごと4


 案の定、その晩ベッドに入ったとき、おせいさんが頭をよねぞうの胸に載せ、彼岸にあちらへ行きましょうと云った。

「去年の秋の彼岸に行かんかったやないか なんで春やねん?すぐ盆くるでェ」

「もう半年以上経ってるし あなたも家族に会いたいと思うので・・」

「おれ べつに・・」

「前にも行くときに聞くといまと同じ返事やったわね 薄情もの・・」

言葉は柔らかいが、非難する因を含んでいる。
前世の妻や家族に積極的に会おうとしない返事に、今度はなじる言葉を口にする。 昨年夏わたしが、自宅に寄って来ると云ったときは不機嫌そうな態だった。 
時と場合で表現や態度を変える 変なヤツ・・
どちらでもエエけど・・と云うと、くるりと躯を回し、頭でよねぞうのアゴを押し上げ じゃあ一緒に行くわね と念を押す。 
あまり気乗りしない調子で、わたしは ああ と云った。
 
彼岸・・・波羅密多・「彼岸に到る」春.秋の中日 その前後を合せて7日間が彼岸会という仏事だ。

去年の夏と同様、私はおせいさんの尻に頭を載せ、3月20日に再び人間界へ旅立った。


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