應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死34〔第五章〕・移植患者巡り

移植患者巡り

 昨夏の経験から二人は要領も分っており、おせいさんの臓器移植を受けた人々の各地をスム-ズに巡った。

福島.東京.三重を廻りそして4人目の、この前は未だ循環器病センタ-に入院中だった神戸.灘の34才の女性患者は無事退院していた。 灘の家に行くと元の勤務先に復職しており、平穏に過ごしていることが判った。

明日は彼岸の中日という前日までに廻り終え、二人はいま大阪のRホテルに投宿している。

福島.郡山市の腎臓移植者は、なんと明日の春分の日に結婚することになっている。 相手は自衛隊員だという。 おせいさんは手放しで喜んだ。

同じ腎臓移植を受けた東京の女性は、昨年おせいさんが予想したとおり、予後の不摂生から腎臓を悪化させ入院中、それも重症とのこと。 その日中よねぞうが話し掛けてもおせいさんは鬱として機嫌が悪かった。

三重の津市で自宅療養していた主婦は健常者に戻り、明るい家庭を取り戻しているらし。 確か役場という姓やったなあ!と、よねぞうがいうと、
「よく調べると やはりわたしの遠縁になるらしいわ」
おせいさんは遠くを見るような目でつぶやいた。

「明日は彼岸の中日だから、それぞれの家で過ごしましょう。 あなたは自宅へ帰ってくれていいわ そして2~3日自由にして」

「あんたは?」

おせいさんは京都の父母に会いに行くと云う。
よねぞうは別に異存がある訳ではないが、できればおせいさんと一緒に行動したい気が動く。(何処へ行って何をするにもなにかと便利だ、一緒になって今では小さいことでも指示されるのに慣れていた)
だからいっしょに と云いかけたが、甲斐性ナシと云われるのを怖れて口を噤んだ。


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