應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死3・通夜二日目

通夜二日目


前日の通夜の疲れからか、座敷に陽が射してきても大人たちの声がしない。

それに比べて子供たちは早くから騒々しい。 長男.次男に各女二人男一人の孫6人が、久しぶりに揃ったものだから喧しいことこの上ない。 暫く居間や食堂で騒いでいたが、最初まず仏間にやってきたのは鷹丸の子供3人である。

そっと棺の窓を開き、珍しそうに各々中腰になって左右から覗き込んでいる。


「目つむってるけど ほんとに死んでるのかなァ」

末子で長男の竜馬(小1)が、しわがれ声で声をひそめる。 小3の春奈が

「あたりまえじゃん 死んでなかったらおじいちゃん こんなせまいところで長いこと ようシンボウせえへんわ 目開いて『うるさいッ』 云うわ」

「だったら つっついてやろ」

長女の冬子(小6)が やめとき と押える間もなく、チョンチョンと人さし指で私の頬を突っついた。 わあっと大声を出す姉2人。 冬子が、

「やめとき 云うたやろ 起き上がったらどうする?」

「ノブ どんな感じ 冷たかった?」 

春奈が竜馬の うんと云う返事を聞くや、同じようにつついて、わっと自分で声を上げて逃げ出した。 二人も声を出してその後を続く。


代ってやって来たのが、善二郎の子供たち3人。 長女の夏子(小1)を先頭に一様にそっとつま先立って忍び足である。 開いたままの窓から、怖がりもせず揃って覗き込む。 吉宗(3才)は二人の姉の脇に首を突っ込んで見ている。

「さわったらあかんで 起きるからな!」

夏子が、わけ知り顔でささやくように云う。 秋子(6才)が姉の顔を見て

「おじいちゃん ひとりで さみしーないんかな」 優しいこと云うやないか。

「死んでるから 分らんのと ちゃうかぁ」

3人がじっと眺める。 吉宗が姉たちの脇から突き出した首のまま、突然

「こらっ めェ さませッ こらっ」

大声で叫んだ。 聞いたとたん、姉たちは一目散に逃げ出し、吉くんも驚いて小さな尻をふって後を追った。

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