應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死44〔第六章〕・わな4

わな4


 3年前の秋、京都で私立も含めた全国大学の○○総会が開かれた。
そのとき誠一も、地元大学で奉職している関係上、一つの分科会の世話人を受け持たされた。 
そしてその時、TK大学の講師も兼務するW大学の客員教授の所勝三と知り合った。 3日間の日程で開かれた会が終ったときは、らい落そうな所氏と親しくなっていた。 最後の晩、京都円山公園内の料亭に案内し接待する。
京料理とそのもてなしに、いたく感激した所は「今度は東京へ来られたらぜひお返ししたい」と云った。 

それから半年ほど経ち、ある政府省庁の設置した、大学改革等委員会と称する委員として出席したとき、偶然隣席に所氏がいた。 それを機会に、今では上京するごとに所氏と連絡を取り合い、接触する仲になっている。
昨年3月初め、ある省庁の研究補助金査定の参考人として、諮問会に出席するため上京した。

 誠一をここ数カ月悩ました前妻が、離婚と同時に自殺したが、永い間の家庭内紛にケリがつき、心の底からほっとした気分でいる。 

一時せいの自殺を知ったとき、誠一は仰天したが(せいの親は世間体をつくろう為か、関係機関にうまく手を回し、病死として届け葬った)。

これで誠一は、己の上り坂の名声が陰ることなく助かったし、晴れてたま子と実子を入籍でき、なにもかもうまく運んで満足している日々だ。

余裕のある気持が目的会議の2日前に、誠一を新幹線に乗せた。
 

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