應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死49〔第七章〕・暗転1

暗転1

誠一が警視庁の刑事たちに、事情聴取を受けている同じ頃、K大学で午後1時から教授会が開かれていた。

議題は一部人事の人選と、新年度の各学部科の打ち合わせである。 会議は4時過ぎに終了する予定が、少し長引いている。  
いよいよ終りの雰囲気が流れたとき、突然経済学部のある教授が、法学部の吉田誠一に関する問題を持ち出した。

会議の前半、人事の議題で数人の昇格に混じり、法学部.吉田誠一助教授も教授に昇格させる案は、大した異議もなく了承されていた。

ただ何人かが「吉田君の実力は認めるが、やたら政府関係の委員など多く嘱託し、それに最近とみにマスコミ等に露出度が云々・・」と反対ではないが、やつかみと消極的な意見を述べた教授連が2~3名いた。 しかし誠一の恩師で実力者の田守名誉教授の、
「法律のような一般人がなじみにくく、難解で近寄り難い学問と受け止められている法務全般を、分かりやすくポピュラ-にするのも、これから大事な公報の手段だ」の一言で、あっさりと決っていた。

会議がほぼ終了という5時前、突然手が上がった。 
一昨年教授に昇格した北野という50年輩の男だ。 
性は明朗だが雑学にたけ、世事について特に早耳で、この男も誠一に負けないマスコミへの露出度が高いと評判だ。

「これはあくまでも私の不確定情報ですが・・」
と前置きし、政府の研究費補助について、ある大学を会計検査が入って調べているらしいが、
それに吉田助教授が間接的に関与しているらしい・・
これは再度云っておきますが不確かな情報で・・
それに女性関係もからんでいるらしい・・
思わせぶって最後はつぶやくように云った。


約3時間長丁場の会議に、ややうんだ雰囲気がただよっていた場の空気が一変した。


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