應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死53〔第七章〕・苦脳1

苦脳1

 一方せいは吉田誠一のその後を追った。

せいはこのお盆でもう3回、人間界へ戻ったが、次は4年後の七回忌にしか戻ることができない。 それは先祖.役の小角から言い渡された約束だ。

本来なら次は三回忌に戻る予定であったのが、この盆に早めたのだ。 復讐をより緻密.残忍を求めようと策を練り過ぎたキライが、そのぶん時間がかかった。 
しかし、いかに粘りと辛抱強いせいでも、次の4年は長過ぎる。 やはり早く結果を見たい。 これが今の本音だ。 

せいはやや気持の上であせっていた。 このため残念だが、今回で一応ケリをつけようと、春の彼岸のとき思い定めた。

吉田誠一一家の住んでいた京都.東大路通りに行ったが、住んでいたマンションには別の家族が入居しており、誠一たちは引っ越したらしい。 

急いで親元太一郎たちの住む伏見に転じた。
古いが重厚な吉田邸の印象は、春に来たときから比べ、何となくうらぶれて見えるのが不思議だ。
この前と同様、門を通り越して横道に入り、姿を隠し念を切る。

すぐ太一郎の姿が写る。 
奥の一室で、骨が浮き出て一段と衰えの目立つ姿、夏の麻布団に横臥している。 気息えんえんとした姿だ。 
元義母の華子の姿が見えない。 急いで家の中を見回す。

すると次に、ノ-スリ-ブのワンピ-スを着た27~8才の女性が浮き出た。 せいの後釜に入ったたま子である。 これもやつれて見える。

たま子は、小菊と樒を活けた水の張った花筒を両手に持ち、いま仏間に入ろうとしている。

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