應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死54〔第七章〕・苦脳2

苦脳2

どうやら誠一家族は、マンションを引き払って両親と同居しているらしい。 

別の部屋に子供の勉強机が見える。 太一郎の妻と誠一や子供は不在らしい。 

せいは暫くたま子の行動心象を観察することにした。 
痩せて見える後姿を見せてたま子は、大きな仏壇に持ってきた花を供え、線香と明りをつけ、手許の数珠を取り両手を合せた。 なにを祈るのか?

1分ほど過ぎたが、たま子はそのままの姿勢を崩さない。 
せいは大急ぎでたま子の脳裏に乗り移った。 どうやら義父母の本復を祈念しているようだ。
最初、別室で寝ている義父の病み衰えた姿が浮かび、治癒を祈る言葉が続く。次ぎに義母華子の姿が念写され、せいは驚いた。

病院の特別室のベッドに病んだ華子が、点滴他の様々な治療機器を装着され眠っている。 
げっそり痩せている。
たった5ヵ月ほど前は、健常時より少し痩せていたが、こんなひどい姿ではなかった。 医薬で押えているが、痛み続けた顔跡が読みとれる。 
どうやら他にガンが転移して、その治療のための入院のようだ。 瞬間 ああこの人もあまり長くはないな と思った。

たま子の頭がまた次に移る。 今度は息子鋭一の姿だ。 
学校の教室で夏期補修授業のようだ。 そのとき校庭の木陰で、誠一らしい男の坐っている映像が、不透明だが写った。

それを最後にたま子の脳裏から、祈念する家族の姿が消え、鉦をたたいて立上がる姿勢が写る。
せいは、誠一の今の現状姿を念写しようと待ったが、たま子の脳裏に何故か、夫について何も係わらなかった。

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