應其

高野應其(たかのおうご)のエッセイと小説。

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よねぞうの死70〔第八章〕・再審

再審

翌日の午後、船は無事六道港に着いた。景色は一転、阿修羅と違いカラ-だ。

相変わらず広場では、派手な服装をした赤鬼や青鬼が、六道のゲ-トに誘導している。 勝手知ったこの広場、若干の懐かしさを覚えた。

『閻魔法王庁.六道の選別所』正面の入口へ行くと、ここも着いたばかりの大勢の亡者が、整然と並んで裁きの呼び出しを待っている。

監視役の鬼に、再審の入口はここか?と聞くと、横の入口を指示された。物言いも前と違って穏やかだ。

大きな球場のような円形になった建物、正面入口から廻ると、なるほど横に別の入口があり、黄色の面を被った鬼の案内人が立っている。

受付で出頭命令書を出し、受付番号を貰い案内されて中に入った。 

中は明るく、豪華な椅子やソフア-が置かれた待合室だ。 見回したが誰もいない。セルフだが飲み物まで用意されている。 一審とエライ違いだ。

コ-ヒ-をお代りした頃、よねぞうの番号が上の表示板に写し出された。


いよいよだ。 緊張が走る。 

法廷に入ると、この前の審決法廷より小さな廷だが、やはり上段に裁判長、一段下がり左側に判事らしいのと書記、右側に欧米人の判事らしい人が坐っている。 
また一段下がって、書類を積み上げ、横のパソコンの画面を見ている倶生神と闇黒童子(エンマ帳係り)、後ろに廷吏2人が立って待ち構えていた。

よねぞうは緊張しながら、廷吏から示された最下段の堅い椅子に、正面向って坐る。
二段目の書記官が、住所.名前を確認したあと、右側の欧米風の審判官が再審の理由を述べた。

難解な専門用語、おまけにたどたどしい日本語なので、要約を以下に述べる。


 要旨は--
「エンマ庁が数年前から合理化のため、手書き書類からOFFライン~ONラインに移行したが、デ-タ-をオフからオンに移行するとき、よねぞうの(よ)を(か)と打ち間違い、かねぞう となり、他の人別帳に入った。 年に一度の見直しをしているが、最近それが判明した」。 

ここで欧米人に代って左側の審判官が、
「よって貴殿を再調査した結果、少年時代、地蔵さまにお小水(小便)をかけたのが人違いと判明した。 閻魔庁としてはイカンに思っている。
今回再審協議の結果、本人の意向次第だが、人間界へ戻すという結論を下した次第。
貴殿が阿修羅に住んで1年余り、その間いろいろの係累が出来たと察するので特別に、どちらに住んでももよい、とのエンマ様のお慈悲あるお計らいを頂いた。 よって貴殿は、人間界に戻ってもよし、今のまま阿修羅界にいてもよし、それだけ住む世界の選択肢が広がったという事じゃ、有り難く拝跪(はいき)せよ」

 
「なお 人間界へ戻るについては原則は、生まれ代り、一から生育されるが、これもまたエンマ様の特別の御配慮で、前の続きを望むならそうしてやってもよい。 但しその場合は人間界の寿命は短いぞよ、以上」。


この法廷も、どこかの国の官僚によく似た御託宣だと、よねぞうは思った。 

どだいミスったのはエンマ庁で、その為2年近くあの墨絵の世界で、気の強い妻と暮すことになり、それをたった一言、イカンの言葉だけで片付け、あまつさえ、選択肢が広がったから這いつくばって有り難たがれだと、(クソッ)。

しかし気の弱いよねぞう、言い返しもならず、約10分程の再審法廷が終り、両手の甲に三通りの方向性のスタンプを押され、外に放り出された。




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コメント

ここで、おわり?

次は、どんな作品が出てくるのか!!楽しみです!!>^_^<。
どげんか、せんといかん!!

  • 2008/02/05(火) 23:02:33 |
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